「お得だから」で選んだつもりが、実は誘導されていた? 『予想どおりに不合理』を読んで自分の意思決定のクセを疑うようになった理由
「これが一番お得!」と思って選んだプランに、あとで違和感を覚えました
あるサービスに申し込むとき、3つの料金プランが並んでいました。ライトプラン、スタンダードプラン、プレミアムプラン。スタンダードとプレミアムの価格差がほとんどなかったので、「これはプレミアムを選ばせるための仕掛けなんじゃないか」と一瞬思いながらも、結局「お得な気がする」という理由でプレミアムを選んでしまいました。後になって、本当に自分に必要な機能を冷静に考えたら、実はライトプランで十分だったことに気づき、なんだか自分の判断が誘導されていたような、モヤモヤした気持ちが残りました。そんな時に読んだのが、行動経済学者ダン・アリエリーさんの『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』でした。
本の紹介
本書は、人間が経済学の教科書が想定するような「合理的な意思決定者」ではなく、驚くほど予測可能なパターンで「不合理な」選択をしてしまう存在であることを、数々の実験結果をもとに解き明かしていく行動経済学の入門書です。お金にまつわる話にとどまらず、価格設定のからくり、先延ばしのクセ、正直さと嘘の境界線など、日常のあらゆる意思決定の場面に潜む「不合理さ」が扱われている点が、お金の心理学に特化した本とは違う面白さでした。
心に残った言葉・要点
①「おとりの選択肢」が、比較の基準そのものを変えてしまう
本書で紹介される、あえて選ばれにくい「おとり」の選択肢を一つ加えるだけで、人の選ぶ確率が大きく変わってしまうという実験には、思わず自分の3プランの経験と重なって背筋が寒くなりました。自分では「比較して選んだ」つもりでも、比較の土俵自体が最初から誘導されていることがある、という指摘は、買い物の場面を思い返すきっかけになりました。
②「無料」という言葉には、価格以上の魔力がある
本書は、「無料」という言葉が、実際の金額の差以上に人の判断を大きく動かしてしまうことを、いくつもの実験で示しています。送料無料やおまけにつられて、本来なら選ばなかったはずの商品を買ってしまった経験を思い出し、自分がいかに「無料」という言葉に弱いかを思い知らされました。
③最初に見た数字が、その後の判断の基準になってしまう
最初に提示された価格や数字が、その後の価値判断の「アンカー(基準点)」になってしまうという指摘も印象的でした。セール前の「元の価格」を見せられると、それだけで割引後の価格を安く感じてしまう自分の癖に、改めて気づかされました。
④「わかっているのにやめられない」先延ばしにも、仕組みで対抗できる
先延ばしは意志の弱さの問題ではなく、締め切りや強制力といった外部の仕組みがあるかどうかで大きく変わる、という指摘も心に残りました。僕自身、締め切りのない作業ほど後回しにしてしまう傾向があり、自分の意志力に期待するのではなく、あえて自分に締め切りを課す仕組みを作る方が現実的だと気づかされました。
読み終えての決意・変化
読み終えてから、僕は何かを選ぶときに「これは本当に自分が選びたいものか、それとも選ばされているものか」と一呼吸置いて考えるようになりました。プランや商品を選ぶ場面では、あえて一番見せたい選択肢から視線を外し、必要な機能や条件だけをリストにして比較するようにしています。完全に不合理さから逃れられるわけではありませんが、自分の判断を疑う視点を持てたこと自体が、大きな収穫でした。
さいごに
「お得だから」「みんな選んでいるから」という理由で、後から後悔する選択をしてしまいがちな方には、ぜひ本書を読んでみてほしいです。『予想どおりに不合理』は、自分の意思決定そのものを見つめ直すきっかけをくれる一冊でした。
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