『鈍感力』

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パートナーの何気ない一言をいつまでも引きずってしまう人へ、『鈍感力』を読んで肩の力が抜けた理由

些細な一言が、夜になっても頭から離れないことはありませんか

結婚してから、僕はパートナーのちょっとした言葉に必要以上に反応してしまう自分に気づくようになりました。「別にそんなつもりで言ったんじゃない」と分かっていても、寝る前になってその一言が頭の中で何度も再生され、翌朝まで機嫌が戻らないこともありました。繊細であることは決して悪いことではないはずなのに、その繊細さが自分自身を疲れさせている感覚がずっとありました。そんなときに出会ったのが、作家として活躍し、かつて医師としても活動していた渡辺淳一さん(2014年逝去)の『鈍感力』です。

本の紹介

本書は、心理学の理論や行動科学の研究データを積み上げて説明するタイプの本ではありません。作家として長年多くの人間模様を描き、また医師としても人の体と心に向き合ってきた著者が、自らの人生観として「鈍感であることの強さ」を語るエッセイです。恋愛や結婚、職場での人間関係、子育て、健康との付き合い方まで、人生の具体的な局面ごとに「気にしすぎない生き方」の処方箋が示されている点が特徴で、いわゆる「気にしない・受け流す」系の自己啓発書とは一線を画す、著者自身の実感がこもった一冊になっています。

心に残った言葉・要点

①鈍感力とは、細やかさの対極にある「図太さ」のこと

本書がまず語るのは、才能を開花させ、幸福な人生を送るために本当に必要なのは繊細さよりも、多少のことでは動じない図太さだという逆説的な視点です。「繊細でいることこそが誠実さの証」だとどこかで思い込んでいた僕にとって、この指摘は意外でした。感じたことすべてを丁寧に受け止めようとすること自体が、実は自分を消耗させていたのかもしれないと思い直すきっかけになりました。

②恋愛や結婚は、鈍感な人のほうがうまくいく

本書では、パートナーの欠点や無神経な一言をいちいち気にする人よりも、多少のことは受け流せる人のほうが、結果的に良い関係を長く続けられると語られます。振り返れば、僕が引きずっていた「一言」の多くは、相手にとっては特に深い意味のないものばかりでした。すべてを深読みして受け止める必要はないのだと思えるようになってから、パートナーとのやり取りが以前より軽やかになった気がしています。

③上司の小言をすぐに忘れられる人が、仕事でも伸びていく

職場においても、叱られたことをいつまでも引きずる人より、指摘を受けてもすぐに気持ちを切り替えられる人のほうが、結果的に成長していくという著者の指摘も印象に残りました。ミスを指摘された日は、僕もその日一日ずっと落ち込んでいたタイプでしたが、引きずっている時間そのものが次の一歩を遅らせているだけなのだと気づかされました。

④子育てや健康にも、「大まかさ」という余裕が必要

本書は子育てや体調管理についても、神経質になりすぎず、多少のことは大目に見る「大まかさ」の大切さを説いています。何事も完璧にこなそうとするほど、かえって自分にも周囲にも余裕がなくなっていく、という指摘は、家庭生活の中で細かいことに気を配りすぎていた自分に重なるものがありました。

読み終えての決意・変化

読み終えてから、僕はパートナーの何気ない一言が気になったときほど、「これは本当に自分が向き合うべきことなのか」と一度立ち止まって考えるようになりました。すべてをすぐに聞き流せるようになったわけではありませんが、以前のように夜通し一言を反芻することは減りました。細やかであることを手放すのではなく、細やかさと図太さのバランスを自分なりに調整していく感覚が、少しずつ身についてきています。

さいごに

パートナーや上司、周囲の何気ない一言に振り回されて疲れてしまっている方には、ぜひ本書を手に取ってみてほしいです。『鈍感力』は、対人関係・結婚・仕事・子育てという具体的な人生の局面ごとに、気にしすぎない生き方のヒントを教えてくれる一冊でした。

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