「なぜ周りは変わってくれないんだろう」と悩んでいた人へ、『スイッチ!――「変われない」を変える方法』を読んで変化の起こし方を学び直した理由
論理的に説明したはずなのに、誰も行動を変えてくれない
チームの業務フローを見直そうと、新しいやり方のメリットを資料にまとめ、会議で丁寧に説明したことがあります。データも根拠も揃えたつもりでした。けれど数週間経っても、結局みんな以前のやり方に戻ってしまう。「あれだけ論理的に説明したのに、なぜ変わってくれないんだろう」と、正直かなり苛立ちを感じていました。自分の伝え方が悪いのか、それともメンバーのやる気の問題なのか。悶々としていた時に出会ったのが、チップ・ハースさんとダン・ハースさんの『スイッチ!――「変われない」を変える方法』でした。
本の紹介
本書は、個人の習慣づくりというより、組織や対人関係を含めた「変化」そのものをどう起こし、どう定着させるかを扱った一冊です。人の心を「感情」を象徴する象と、「理性」を象徴する象使いに例え、その二つに加えて周囲の「環境(道筋)」を整えることで、変化は初めて動き出すという枠組みを提示しています。理屈だけをぶつけても人や組織は動かない、という前提に立ったうえで、実際の企業や現場の事例をもとに、具体的な打ち手が紹介されている点が印象的でした。
心に残った言葉・要点
①象使い(理性)に、あいまいな指示ではなく具体的な行動を示す
本書は、「もっと頑張ろう」「意識を変えよう」といった抽象的な号令が、実は理性である象使いを迷わせるだけだと指摘します。目的地は分かっていても、最初の一歩が具体的でなければ人は動けない、という指摘に、僕は自分の説明が「なぜ変えるべきか」ばかりで「何から始めればいいか」を示せていなかったことに気づかされました。
②象(感情)を動かさなければ、人は変わらない
理屈で正しくても、感情が伴わなければ人は行動を変えない、という点も強く印象に残りました。本書では、数字やロジックだけでなく、変化がもたらす意味や実感を伝えることの重要性が語られています。僕がチームに見せていたのは効率化の数字ばかりで、「この変化で自分たちの仕事がどう楽になるか」という感情に訴えかける部分が、すっぽり抜け落ちていたのだと思い知らされました。
③道筋(環境)を変えれば、意志の力に頼らなくて済む
個人の意志力や説得力に頼るのではなく、行動しやすいように環境そのものを整える、という「道筋を変える」という考え方も新鮮でした。新しいやり方を選ぶことが面倒であればあるほど、人は慣れた方法に戻ってしまう。ならば、新しいやり方の方を「ラクな選択」にしてしまえばいい、という発想の転換は、僕にとって大きな収穫でした。
④うまくいっている「ブライトスポット」を見つけて広げる
問題点ばかりを分析するのではなく、すでにうまくいっている部分(ブライトスポット)を見つけ出し、それを手本として広げていくという視点も印象的でした。僕はこれまで「なぜ変わらないのか」という原因探しにばかり時間を使っていましたが、逆に「なぜかうまく回っているチームやメンバー」に目を向けて、そのやり方を真似てもらう方が、はるかに現実的だと気づかされました。
読み終えての決意・変化
読み終えてから、僕はチームに変化を求めるとき、まず「今回の最初の一歩は具体的に何か」「この変化はメンバーにとってどんな感情的なメリットがあるか」「環境として何を変えれば行動しやすくなるか」の三つを順番に考えるようになりました。すべてがすぐにうまくいくわけではありませんが、以前のように「理屈で説明すれば伝わるはず」と思い込むことは、少なくなりました。
さいごに
自分の伝え方や意志力の問題だと思い込んで、変化を起こせないことに悩んでいる方には、ぜひ本書を読んでみてほしいです。『スイッチ!――「変われない」を変える方法』は、自分自身だけでなく、周囲やチームの変化を起こしたい人にとっても、大きなヒントをくれる一冊でした。
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