『採用基準』

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部下の採用面接を任されて何を基準に見ればいいか分からなかった人へ、『採用基準』を読んで評価する目と評価される目の両方が磨かれた理由

「良い人材」の基準を、自分の言葉で説明できますか

チームの新しいメンバーを迎えることになり、初めて採用面接に同席したとき、僕は何を基準に候補者を評価すればいいのか分からず戸惑いました。学歴や職歴といった表面的な情報は目に入ってきても、それが本当に「良い人材」を見分けることになっているのか、確信が持てなかったのです。同時に、自分自身がこれまで受けてきた面接でも、評価される側として何をアピールすべきなのか、実はきちんと言語化できていなかったことにも気づかされました。そんなときに手に取ったのが、元マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社の人事採用マネジャーを務めていた伊賀泰代さんの『採用基準』です。

本の紹介

本書は、いわゆる部下育成や組織設計のノウハウ本ではなく、「採用する側は何を見ているのか」「採用される側は何を鍛えるべきなのか」という、採用・人材選抜という一つの窓口を通してリーダーシップの本質を描き出す一冊です。長年多くの候補者を審査してきた著者の視点から、地頭の良さや資格の有無といった分かりやすい指標よりも、あらゆる立場の人に求められる「リーダーシップという資質」こそが評価の核心にあると説かれています。単なる採用担当者向けのマニュアルにとどまらず、自分自身のキャリアや働き方を棚卸しするための一冊としても読める構成になっています。

心に残った言葉・要点

①優秀さの基準は、地頭でも英語力でもなく「リーダーシップ」

本書がまず覆してくれたのは、優秀な人材を測る基準についての僕の思い込みでした。頭の回転の速さや専門知識の量ばかりを評価軸だと考えていましたが、著者はそれ以上に、自ら課題を見つけて周囲を動かせる「リーダーシップ」こそが決定的な違いを生むと語ります。採用面接で候補者の経歴ばかりを気にしていた自分の視点そのものを、見直すきっかけになりました。

②リーダーシップは、役職に就いた人だけのものではない

本書では、リーダーシップを「管理職やチームの代表者だけが持つべき特別な資質」としてではなく、あらゆる立場の人が日常的に発揮できるものとして描いています。新人であっても、目の前の課題に対して自分の意見を持ち、行動を起こすことはできる、という指摘は、リーダーという役職に就くまでリーダーシップを鍛える必要はないと思い込んでいた僕の考えを変えるものでした。

③「決める」経験を積んだ人ほど、評価される側でも強い

面接で評価される候補者に共通するのは、大きな決断を自分の意思で下してきた経験の有無だという指摘も印象的でした。振り返れば、僕自身のキャリアも、周囲や会社の意向に合わせて選んできた場面が多く、自分の意思で「決めた」と胸を張って言える経験は多くありませんでした。この一節を読んで、評価される側としても、日々の小さな選択の場面で自分の意思をもっと持とうと思うようになりました。

④成果を出すとは、「自分の役割を全うする」だけでは足りない

本書では、リーダーシップのある人は、自分に割り振られた役割をこなすだけでなく、チーム全体の成果に対して当事者意識を持つと語られます。「自分の担当分だけしっかりやればいい」という発想でこれまで仕事をしてきた僕にとって、この視点はやや耳が痛いものでしたが、評価する側・される側どちらの立場に立っても、チーム全体を見る視点が問われているのだと理解できました。

読み終えての決意・変化

読み終えてから、採用面接に同席する際は、候補者の経歴だけでなく、自分の意思で決断を下した経験があるかどうかを意識して質問するようになりました。同時に、自分自身のキャリアについても、周囲の空気に合わせて選んできた場面を振り返り、次はもっと自分の意思で決めていこうと思えるようになったことが、この本を読んで得た一番の収穫です。

さいごに

部下やチームメンバーを評価する立場になったものの、何を基準に見ればいいのか分からず戸惑っている方、そして自分自身のキャリアの棚卸しをしたい方には、ぜひ本書を読んでみてほしいです。『採用基準』は、評価する側・される側の両方の視点からリーダーシップの本質を教えてくれる一冊でした。

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