異動先で急に「使えない上司」評価をされて悩んでいた僕が、『コンテキスト・リーダーシップ』を読んでリーダー像を見直した理由
前の部署では「頼れる上司です」と言われていたのに、異動した途端に「指示が細かすぎる」「もっと任せてほしい」と部下から不満の声が上がるようになった――そんな経験はないでしょうか。僕自身、前の部署では丁寧に教えるタイプの上司として評判が良かったのに、若手が多く裁量を求める新しい部署に異動してから、同じやり方をしているだけなのに急に「マイクロマネジメントだ」と距離を置かれるようになりました。自分のリーダーシップのスタイルそのものが否定されたようで、正直かなり落ち込みました。
そんなときに書店で手に取ったのが、独立研究者・山口周さんの『コンテキスト・リーダーシップ「最高の上司」と「最悪の上司」は文脈で決まる』です。発売から1週間ほどで増刷がかかったとも聞き、同じように悩んでいる管理職が多いのだろうと感じながら読み始めました。
本の紹介
この本の面白いところは、「良い上司とは何か」という永遠のテーマに、唯一の正解を出そうとしない点です。むしろ「その上司が『最高』か『最悪』かは、本人の資質だけではなく、置かれた文脈(チームの成熟度、業界の状況、部下の経験値など)によって決まる」という前提に立ち、状況に応じてリーダーシップのスタイルを切り替える視点を教えてくれます。単なる精神論ではなく、なぜ同じ人間が違う環境で真逆の評価を受けるのかを構造的に説明してくれるので、「自分が悪いのか、環境が悪いのか」でモヤモヤしていた僕にとって、非常に腹落ちする内容でした。
心に残った言葉・要点
①「上司の優秀さは、その人単体では評価できない」
読み始めてすぐに刺さったのがこの考え方でした。僕らはつい「あの人は良い上司」「あの人はダメな上司」と、上司個人の資質だけで判断してしまいがちです。しかし本書は、同じ人物でもチームやフェーズが変われば評価が真逆になり得ることを、具体的な組織論を交えて説明します。自分が前の部署で評価されていたのは、自分の実力というより「あの部署の文脈に合っていただけ」だったのかもしれないと気づき、少し肩の力が抜けました。
②「成熟したチームほど、細かい指示はノイズになる」
僕が異動先でやっていた「丁寧な指示出し」は、前の部署(経験の浅いメンバーが多かった)では歓迎されていましたが、新しい部署は自律的に動けるベテランが多いチームでした。本書はこうした「チームの成熟度によって求められるリーダーシップは変わる」という視点を提示しており、まさに自分の状況を言い当てられたような感覚になりました。細かい指示が「丁寧さ」ではなく「信頼していない証拠」として受け取られていたのだと理解できたのは大きな収穫でした。
③「リーダーシップはスタイルではなく、状況判断の総体である」
本書では、リーダーシップを固定的な「スタイル」としてではなく、状況を読み取って対応を変える「判断力」の集合体として捉え直しています。「自分は放任型」「自分は指導型」と自分のスタイルを決めつけていた僕にとって、この視点はかなり新鮮でした。スタイルにこだわるのではなく、まず目の前のチームの文脈を観察することから始めればいいのだと、気持ちが楽になりました。
④「『最悪の上司』になった瞬間に気づけるかどうかが分かれ目」
印象的だったのは、多くの上司は自分が「最悪」になっていることに気づかないまま突き進んでしまう、という指摘です。本書は、部下の反応や場の空気の変化を「文脈が変わったサイン」として捉え、早めに軌道修正することの重要性を説いています。「不満が出てから直す」のではなく、「不満が出る前に気づく」ための観察の視点を持てるようになったのは、この本から得た一番大きな変化かもしれません。
読み終えての決意・変化
この本を読んでから、異動先で最初にやるべきだったのは「自分のやり方を教える」ことではなく、「このチームの文脈を理解する」ことだったのだと気づきました。今は新しい部署でも、指示を出す前に一呼吸置いて、このメンバーには裁量を渡したほうがいいのか、それとも丁寧なサポートが必要なのかを考えるようになっています。まだ完全に信頼を取り戻せたとは言えませんが、少なくとも「自分のスタイルを押し付けない」という意識は根付いてきたと感じています。
締めくくり
異動や組織変更をきっかけに、これまでのやり方が急に通用しなくなり、自分のリーダーシップに自信を失いかけている方は少なくないはずです。「自分が変わるべきなのか、それとも環境の問題なのか」を整理する手がかりとして、この一冊はきっと力になってくれると思います。
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