「あの人がいないと仕事が回らない」職場に悩んでいた僕が、『とにかく仕組み化』を読んで属人化を手放した理由
「あの人がいないと回らない」、そんな状況に心当たりはありませんか
チームの中に、いつも頼りにされる優秀なメンバーがいました。トラブルが起きればその人が対応し、新人が困ればその人に聞く。効率はいいはずなのに、その人が長期休暇を取った途端、チーム全体の動きが止まってしまったことがあります。「あの人がいないと回らない」というのは、一見すると信頼の証のようで、実は組織にとって非常に危うい状態なのだと、そのとき初めて痛感しました。
自分自身もマネジメントを任されるようになり、同じ問題に直面しました。属人化を解消したいのに、具体的に何から手をつければいいのか分からない。そんなときに出会ったのが、識学の考え方をベースに組織論を説く安藤広大さんによる本書でした。
本の紹介
本書は、「頑張る人」や「気合いのある人」に依存する組織運営から脱却し、誰がやっても同じ成果が出る「仕組み」で組織を動かすための考え方を説いた一冊です。個人のモチベーションや人間性に頼るマネジメントは、一見あたたかく見えても、実は再現性がなく、担当者が変わるたびに品質が崩れるリスクを抱えている。本書はその問題を、精神論ではなくルール設計・評価制度・情報共有の仕組みという具体的なレベルで解き明かしてくれます。読み進めるうちに、自分がこれまで「良い人間関係」だと思っていたものの一部が、実は仕組みの欠如を人間関係でごまかしていただけだったのではないかと気づかされました。
心に残った言葉・要点
①「安心して仕事を任せられる」は仕組みがあってこそ生まれる
本書では、部下を信頼して任せるという行為は、感情や相性だけで成立するものではなく、ルールや評価基準といった仕組みが整っているからこそ機能する、という趣旨が繰り返し語られます。「信頼しているから任せる」のではなく「仕組みがあるから安心して任せられる」という順番の違いに、目から鱗が落ちる思いでした。
②ルールは「人はそこまで強くない」という前提でつくる
人間は放っておくと楽な方向に流れてしまう生き物である、という前提に立ってルールを設計するという考え方が印象的でした。個人の意志力や善意に頼ったルール運用は、担当者の調子や気持ちひとつで簡単に崩れてしまう。だからこそ、誰が運用しても同じように機能する仕組みが必要なのだと理解しました。
③属人化は「美談」ではなく組織の脆さである
特定の人にしかできない仕事があることを、これまで僕はどこかで「その人がすごいから」と美化していました。しかし本書は、それを組織のリスクとしてはっきり位置づけます。誰か一人が欠けただけで止まってしまう仕組みは、どれだけその人が優秀でも、組織としては未成熟な状態だという指摘に、自分のチーム運営を見直す必要性を強く感じました。
④「代わりがいない」状態をつくらないこともリーダーの仕事
マネジメントの役割は、目の前の仕事を回すことだけではなく、自分やエース級のメンバーがいなくても回る状態をあらかじめ設計しておくことなのだと、本書を通じて理解しました。属人化を防ぐための仕組みづくりは、多くの企業で導入が進んでいると言われている考え方であり、決して特殊な理論ではなく、再現性のある組織運営の基本なのだと感じています。
読み終えての決意・変化
読んでからは、自分のチームで「この業務は今、誰か一人にしか対応できない状態になっていないか」を定期的に棚卸しするようになりました。マニュアル化や情報共有のルールを整えることは地味な作業ですが、それが結果的にチームの誰もが安心して休める環境につながるのだと実感しています。頑張る人に感謝しつつも、頑張りに依存しない仕組みをつくることこそが自分の役割だと、考え方が大きく変わりました。
さいごに
「あの人がいないと回らない」という状況に不安を感じているリーダーや、これからチームを持つ立場になる方には、ぜひ読んでほしい一冊です。『とにかく仕組み化』は、属人化という見えにくい組織のリスクに正面から向き合わせてくれる、実践的な組織設計論の本でした。
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