『具体と抽象』

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会議で「話がかみ合わない」と感じていた人へ、思考の“解像度”を上げる一冊『具体と抽象』を読んで会話のズレの正体に気づいた理由

同じ日本語を話しているのに、なぜか通じないと感じたことはありませんか

会議で自分なりに本質をとらえたつもりで発言したのに、「もっと具体的に言ってください」と返され、逆に部下の説明を聞くと今度は細かすぎて全体像が見えてこない。同じ会議室にいるのに、まるで違う言語で話しているようなもどかしさを何度も感じてきました。自分の頭が悪いのか、それとも相手と話が合わないだけなのか、その正体がずっと分からずにいました。

そんなとき、書店で目にとまったのが細谷功さんの『具体と抽象』でした。「世界が変わって見える知性のしくみ」という副題に惹かれ、藁にもすがる思いでページを開きました。

本の紹介

本書は、思考力や知性そのものを「具体と抽象を自在に行き来する力」として捉え直す一冊です。ノウハウやテクニックの紹介ではなく、「そもそも人はどう考えているのか」という思考の仕組みそのものを解き明かしていく構成になっています。抽象化とは、複数の物事から共通点を見つけ出し、余分な情報を捨てて本質だけを取り出す作業だと本書は定義します。ビジネス書にありがちな「まとめ方のコツ」ではなく、抽象化という思考の型そのものに焦点を絞って掘り下げている点が、他の思考法本とは違う手応えでした。

心に残った言葉・要点

①「具体病」と「抽象病」というたとえ

本書は、具体的な事象にしか目が向かない状態を「具体病」、逆に抽象的な話ばかりで現実の行動に落とし込めない状態を「抽象病」と呼びます。僕はまさに会議で「抽象病」の側に立っていて、部下は「具体病」の側にいた。どちらが正しいという話ではなく、お互いが違う抽象度で話していたにすぎない、と気づいた瞬間、これまでの噛み合わなさが一気に腑に落ちました。

②抽象化とは「何を捨てるか」を決めること

本書は、抽象化を単なる「まとめ」ではなく、無数にある情報の中から「今は要らない部分を思い切って捨てる」作業だと説明します。何かを一般化するとき、私たちは無意識に多くの具体的な情報を切り捨てています。この「捨てる」という視点に触れてから、自分の説明が伝わらない原因の多くは、捨てるべき情報を捨てられていないからだと考えるようになりました。

③自由度の高い会話と低い会話の違い

抽象度の高い言葉は、聞き手それぞれが自分なりの具体で受け取れる分、自由度が高い一方で誤解も生まれやすい。逆に具体的な言葉は誤解こそ少ないものの、応用が利きにくい。この対比を知ってから、僕は相手の立場や状況に応じて、あえて具体度を上げ下げしながら話すことを意識するようになりました。

④「なぜ」を一段掘ることが抽象化の入り口

本書は、目の前の出来事に対して「なぜそうなるのか」を一段掘り下げるだけで、抽象化への第一歩になると説きます。特別な訓練が要るのではなく、日常の小さな「なぜ」の積み重ねが、この思考の型を育てていくのだという説明に、身構えていた気持ちが少し軽くなりました。

読み終えての決意・変化

読み終えてから、僕は会議で誰かの発言が「かみ合わない」と感じたとき、まず「自分と相手、どちらの抽象度がずれているのか」を考えるようになりました。相手の理解力のせいにする前に、自分の説明の抽象度を疑う癖がついたことが、いちばん大きな変化だと思います。

さいごに

「話しているのに伝わらない」というもどかしさを抱えている方には、ぜひ本書を手に取ってほしいです。『具体と抽象』は、テクニックではなく、思考そのものの解像度を上げてくれる一冊でした。

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