優秀なメンバーばかりなのになぜか同じ見落としを繰り返すチームに悩んでいた人へ、『多様性の科学』を読んで”違う視点”を意図的に集める大切さに気づいた理由
全員が同じ意見に頷く会議室に、違和感を覚えたことはありませんか
会議で新しい企画案を出したとき、誰も反対せずすんなり決まった。その場では「すぐまとまってよかった」と思ったのに、後日、想定していなかった問題が発覚して手戻りになる。そんな経験が何度か続いて、僕はふと気づきました。「うちのチーム、みんな同じ大学の出身で、同じような経歴で、同じような発想しかしていないんじゃないか」と。
個々のメンバーは決して能力が低いわけではありません。むしろ一人ひとりは優秀で、真面目に仕事に取り組んでいる。それなのに、なぜかチームとして同じ種類のミスを繰り返す。この違和感の正体を知りたくて手に取ったのが、マシュー・サイド著『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』でした。2022年12月時点で発行部数5万部を突破したとディスカヴァー・トゥエンティワンが発表しているロングセラーだと知り、期待して読み始めました。
本の紹介
本書は、CIAがなぜ同時多発テロの予兆を見抜けなかったのかという衝撃的な事例から始まり、「能力の高さ」と「集団としての判断力の高さ」はまったく別物であることを、豊富な研究データと実例で解き明かしていきます。単に「多様な人材を集めましょう」という綺麗事ではなく、なぜ均質な集団が失敗するのか、どうすれば異なる視点を組織の力に変えられるのかを、構造的に理解させてくれる一冊でした。
心に残った言葉・要点
①「クローン集団」は、個々が優秀でも失敗する
本書が繰り返し強調するのは、似た経歴・似た考え方を持つ人ばかりが集まった「クローン集団」は、たとえ一人ひとりのIQが高くても、集団としての問題解決能力は低くなりやすいという指摘です。優秀な人材を集めれば集めるほど安心していた自分にとって、これは頭を殴られたような感覚でした。人選の”質”だけでなく、”視点の種類”を意識していなかったことに気づかされました。
②多様性には「属性」と「認知」の2種類がある
本書は、性別や国籍といった目に見える属性の多様性と、ものの見方や考え方の枠組みが異なる「認知的多様性」を明確に区別します。属性だけを揃えても、同じような教育・同じような業界経験を積んだ人ばかりでは、結局は似た発想しか出てこない。この整理を読んで、僕はこれまで「多様性」という言葉を、表面的にしか理解していなかったことを痛感しました。
③反対意見が出ない会議室は、静かな危険信号
「誰も異論を唱えない会議は、うまくいっているのではなく、危険信号かもしれない」という趣旨の指摘も強く印象に残りました。心地よい同意の連続は、実は誰かが空気を読んで本音を飲み込んでいるだけかもしれない。あの「すんなりまとまった会議」を思い出し、背筋が伸びる思いがしました。
④違う意見が衝突できる「心理的安全性」が土台になる
ただ異なる視点の人を集めるだけでは足りず、その意見をぶつけ合える場の空気、いわゆる心理的安全性が確保されていなければ、多様性はむしろ機能不全を招く。この指摘のおかげで、僕は「多様な人を採用すること」がゴールではなく、その先にある「異論を言いやすい空気づくり」こそが本当のスタートラインなのだと理解できました。
読み終えての決意・変化
読み終えてから、僕は企画会議で真っ先に賛成が集まったときほど、あえて「あなたはどう見る?」と、普段あまり発言しない人やバックグラウンドの違う人に意見を振るようにしています。すぐに劇的な成果が出たわけではありませんが、以前は見過ごしていた小さな懸念点が、会議の早い段階で拾えるようになった感覚があります。
さいごに
チームは優秀なのに、なぜか同じような見落としを繰り返している。そんな違和感を抱えている方には、ぜひ『多様性の科学』を読んでみてほしいです。個々の能力を疑うのではなく、集団としての「視点の幅」を疑ってみる。そのきっかけを与えてくれる一冊でした。
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