『あやうく一生懸命生きるところだった』

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「もっと頑張らなきゃ」が口癖になっていた人へ、韓国発のリアルな脱力エッセイ『あやうく一生懸命生きるところだった』を読んで肩の力を抜けた理由

常に周りと比べて、全力で走り続けていないと不安になっていませんか

学生の頃から、いい成績、いい会社、いい役職と、次の目標をひたすら追いかけてきました。少しでも足を止めると、周りに置いていかれるような焦りを感じて、休むことすら「怠けている」と自分を責めてしまう。頑張ること自体が目的になって、何のために頑張っているのかを見失っていた時期がありました。

そんなときに手に取ったのが、韓国のエッセイスト・ハ・ワンさんによる『あやうく一生懸命生きるところだった』でした。学歴社会・競争社会と言われる韓国で、広告会社を辞めてイラストレーターに転身した著者自身の実体験から紡がれる言葉は、日本で同じように「頑張りすぎる」文化の中で生きてきた僕にも、驚くほどまっすぐ刺さりました。

本の紹介

本書は、韓国社会特有の熾烈な受験・就職競争の中で「一生懸命生きること」を当然とされてきた著者が、その価値観そのものに疑問を投げかけていくエッセイです。理論やメソッドを教える本ではなく、著者自身が会社員時代に感じていた息苦しさや、そこから抜け出そうと足掻いた実体験がベースになっているからこそ、説教くささがなく、すっと心に入ってきます。単に「頑張らなくていい」と慰めるだけでなく、なぜ自分たちはこれほどまでに「頑張ること」に追い詰められてきたのか、その構造にまで目を向けさせてくれる一冊でした。

心に残った言葉・要点

①「一生懸命」がいつのまにか目的になっていた

著者は、子どもの頃から周囲に「もっと頑張れ」と言われ続け、気づけば「頑張ること」自体が生きる目的になってしまっていたと振り返ります。何のために頑張っているのかを誰も問い直さない社会の空気を描いた一節に、僕も自分に置き換えて考えずにはいられませんでした。頑張る先に何を得たいのか、僕自身いつからか考えなくなっていたのです。

②「みんなと同じレール」から外れる怖さ

安定した会社を辞め、収入も肩書きも不確かな道に進んだ著者の決断は、周囲からすれば「もったいない」の一言で片づけられるものだったといいます。それでも著者は、レールの上を走り続けることの息苦しさのほうが自分には耐えがたかったと綴ります。僕はレールを外れる勇気こそなくとも、「レールの上にいれば安心」という思い込み自体を疑ってもいいのだと、少し視界が開けた気がしました。

③「適当に」生きることは、悪いことじゃない

本書には、常に全力投球ではなく、力を抜いて「適当に」やり過ごすことの大切さを説く場面が繰り返し出てきます。真面目に生きてきた人ほど、この言葉に最初は抵抗を感じるかもしれません。僕もそうでした。ですが、常に120%で走り続けていたら、いつか本当に大事な場面で力尽きてしまう。力の抜きどころを知ることも、立派な生きる技術なのだと思えるようになりました。

④自分を追い詰めていたのは、誰でもなく自分だった

著者は、周囲の期待やプレッシャーだと思っていたものの多くが、実は自分自身の中にある「こうあるべき」という思い込みだったと気づいていきます。この視点に触れたとき、僕を急かしていたのは上司でも同僚でもなく、自分の中の「もっと頑張らなきゃ」という声だったのだと、静かに腑に落ちました。

読み終えての決意・変化

読み終えてから、僕は「今日は少し力を抜こう」と思える日を、以前よりずっと素直に受け入れられるようになりました。頑張ること自体を否定するのではなく、頑張らない選択肢もちゃんと自分の中に用意しておく。そのくらいのゆるさが、結果的に長く走り続けるための力になるのだと感じています。

さいごに

「頑張り続けることに、少し疲れてしまった」という方には、ぜひこの本を手に取ってほしいです。『あやうく一生懸命生きるところだった』は、著者自身のリアルな経験を通して、頑張ることとの新しい距離感を教えてくれる一冊でした。

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