1on1が雑談で終わってしまう管理職へ、部下の成長を引き出す対話の技術を学んだ一冊『増補改訂版 ヤフーの1on1』を読んで実践に踏み出した理由
会社の制度として1on1が導入されたとき、正直「また面倒な仕組みが増えた」と思っていました。毎週30分、部下と二人きりで話す時間を確保しなければならないのに、何を話せばいいのか分からず、気づけば「最近どう?」「進捗どう?」という世間話と業務確認だけで時間が終わってしまう。部下の顔にも「これ意味あるんですかね」という空気が漂い始めていて、このままでは制度だけが形骸化してしまうと焦りを感じていました。
そんなときに読んだのが『増補改訂版 ヤフーの1on1』です。著者の本間浩輔さんは、ヤフーで人事責任者を務め、日本企業に1on1という手法を広めた第一人者ともいえる存在です。原著は2017年の刊行で、シリーズ累計8万部を超え「いちばん売れている1on1の本」とも紹介されているそうですが、今回の増補改訂版では、その後の実践知見や新しい視点が加筆されているとのこと。「部下との会話術」という漠然としたテーマではなく、「1on1」という具体的な手法にここまで絞り込んで書かれた本は珍しく、まさに今の自分が必要としていた一冊でした。
本の紹介
この本の特徴は、抽象的な「良い上司論」ではなく、1on1という30分程度の面談の中で、何を、どんな順番で、どんな姿勢で話すべきかを具体的に示してくれるところにあります。単なる傾聴のテクニック集にとどまらず、1on1を「経験学習」の場として設計する考え方が土台にあり、部下の成長を継続的に支援するための仕組みとして1on1を位置づけている点が、他のコミュニケーション本とは一線を画していると感じました。
心に残った言葉・要点
①「1on1は上司のための報告の場ではなく、部下のための時間である」
最初にこの一文を読んだとき、自分がやっていた1on1はまさに「上司である自分が進捗を把握するための時間」になっていたことに気づかされました。主語が「自分」から「部下」に変わるだけで、話す内容も聞き方も全く違うものになるはずだと痛感しました。
②「聞くことは、話すことより難しい」
上司という立場になると、つい自分の経験やアドバイスを話したくなってしまいます。しかし本書は、1on1の価値の多くは「聞くこと」の質にかかっていると説きます。部下の話を遮らず、評価や結論を急がずに聞き切ることがどれほど難しいか、実際に意識してみて初めて実感しました。
③「経験学習のサイクルを一緒に振り返る」
ただ「最近どう?」と聞くのではなく、部下が経験した出来事を一緒に振り返り、そこから何を学べるかを言語化する手助けをするという考え方には、目から鱗が落ちました。1on1を単なる近況報告の場ではなく、部下自身が自分の経験から学びを引き出すための伴走の時間として捉え直すきっかけになりました。
④「雑談にも意味がある、ただし『何のための雑談か』を意識する」
意外だったのは、本書が雑談そのものを否定していない点です。ただし、目的のない雑談と、部下との信頼関係を築くための雑談は別物だという指摘には納得させられました。何気ない会話にも意図を持たせることで、1on1全体の質が変わってくるのだと感じています。
読み終えての決意・変化
この本を読んでから、1on1の冒頭で「今日は何について話したい?」と部下に選んでもらうようにしています。最初は戸惑われましたが、少しずつ部下自身が話したいテーマを持ってきてくれるようになり、以前のような「進捗確認だけの30分」ではなくなってきた実感があります。まだ完璧にできているとは言えませんが、少なくとも「これは誰のための時間か」という問いを、毎回自分に投げかけるようになりました。
締めくくり
1on1が導入されたものの、何を話せばいいか分からず形骸化させてしまっていると感じている管理職の方は、決して少なくないはずです。テクニックだけでなく、1on1という時間そのものの意味を捉え直したい方に、この本を強くおすすめしたいと思います。
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