頑張っても報われないと感じる人へ、「言葉の呪い」を解く一冊『生きづらさの正体』を読んで思考のクセに気づいた理由
転職活動で何社も面接に落ち続けていた時期、頭の中で何度も再生されていた言葉がありました。新人の頃の上司に言われた「お前は要領が悪いから、何をやってもうまくいかない」という一言です。当時はただの叱責として聞き流したつもりでいたのに、何年も経った転職活動の最中、うまくいかないたびにその言葉が蘇ってきて、「やっぱり自分は要領が悪いんだ」と自分から可能性を狭めているような感覚がありました。
そんなときに書店で手に取ったのが『生きづらさの正体』です。著者は、少年院で矯正教育官として働いた経験を持ち、犯罪学の知見をわかりやすく発信する人気YouTuberとして知られています。同じ著者の別の本『世の中の8割はどうでもいい。』は「頑張ってもうまくいかない人生」全般を扱う内容でしたが、本書はもっと的を絞り、「言葉の呪い」という一点にフォーカスしているのが特徴です。誤解のないように先に書いておくと、ここでいう「呪い」は宗教的な呪術やスピリチュアルな話ではなく、他人や自分自身が無意識にかけてしまう「思い込みの言葉」を心理学・行動科学的な視点で読み解く比喩表現です。
本の紹介
本書は、「頑張っても収入が増えない」「マッチングアプリでいい出会いがない」といった、誰もが一度は感じたことのある「生きづらさ」を切り口に、その背景に潜む「言葉の呪い」の正体を解き明かしていきます。単に「ポジティブに考えましょう」という精神論ではなく、なぜその言葉が自分を縛るのか、その言葉をどう捉え直せば行動を変えられるのかという、具体的な思考の手順まで示してくれる点が実践的だと感じました。
心に残った言葉・要点
①「呪いは、他人からだけでなく自分自身もかけている」
誰かに言われた言葉だけでなく、自分自身が過去の失敗から「自分はこういう人間だ」と決めつけてしまう言葉も、同じように自分を縛る呪いになるという指摘です。僕を縛っていたのは、上司の一言そのものというより、それを何年も自分で反芻し、強化し続けていた自分自身だったのだと気づかされました。
②「『どうせ』が口癖になった瞬間、行動の可能性は閉じる」
「どうせ自分には無理だ」という言葉を一度口にしてしまうと、脳はその言葉を裏付けるための情報ばかりを集めてしまうという説明に、思い当たる節がありすぎて苦笑いしてしまいました。面接の前に「どうせ今回もダメだろう」と心の中でつぶやいていたことが、結果にも表情にも滲み出ていたのかもしれません。
③「選ばれない理由を、必要以上に『自分のせい』にしすぎている」
仕事でも恋愛でも、結果が出ないとき、僕たちはつい「自分に価値がないからだ」という一番重たい結論に飛びつきがちです。しかし本書は、そこには単なる相性やタイミングなど、自分の価値とは関係ない要因も多く含まれていることを指摘します。この視点を知ってから、うまくいかなかったことのすべてを自分の人格の欠陥として抱え込まなくてよいのだと、肩の荷が少し軽くなりました。
④「呪いの言葉を『事実』と『解釈』に分けて見直す」
「要領が悪い」と言われたという出来事は事実ですが、「だから何をやってもダメだ」という部分は、自分が後付けで足した解釈にすぎません。この本を読んでから、自分を縛っている言葉に気づいたとき、「これは事実か、それとも自分が付け加えた解釈か」と一度立ち止まって考えるようになりました。
読み終えての決意・変化
この本を読んでから、うまくいかないことがあっても、すぐに「自分はダメな人間だ」という結論に飛びつくのをやめるようにしています。代わりに「今回のこの結果と、自分の人間としての価値は、そもそも別の話だ」と一度自分に言い聞かせるようにしました。呪いは一瞬で解けるものではありませんが、少なくとも「これは呪いかもしれない」と気づけるようになっただけで、気持ちの重さはずいぶん変わったように感じています。
締めくくり
頑張っているのに報われない、どこかで自分に価値がないと感じてしまう。そんな感覚を抱えているなら、それはあなたの能力の問題ではなく、いつの間にかかけられた「言葉の呪い」のせいかもしれません。自分を縛っている言葉の正体を知りたい方に、この本をおすすめしたいと思います。
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